人事制度の不満をゼロに！社長の愛あるえこひいきを導入せよ
人事制度の不満をゼロにしたい。
これは、多くの経営者や人事担当者にとって、夢のような目標かもしれません。
なぜなら、どんなに精緻な制度を作っても、社員からは必ず「納得できない」という声が上がるからです。
しかし、私が断言します。
その不満は、あなたの制度が「公平」でないから生まれるのではありません。
むしろ、「公平性」を追い求めすぎた結果、生まれている可能性すらあるのです。
この記事では、人事制度の不満という問題の根源に迫ります。
巷の対策がなぜ失敗するのかを解き明かし、社員の心を本当に満たす「愛あるえこひいき」という、本質的な解決策があります。
あなたの会社から不満を消し去り、社員の情熱を呼び覚ますための「社長の覚悟」についてお伝えします。
【村井 庸介（むらい ようすけ）】
大学卒業後は株式会社野村総合研究所に入社し通信業・製造業の経営コンサルティングに携わる。その後リクルート、グリー、日本IBMに転職。その中でグリー株式会社にて人事制度設計に携わった。
2015年に独立後は、社員30名のベンチャー企業から5,000名を超える大企業まで幅広く人事制度設計や導入伴走に携わる。顧客業種は製造業、サービス、IT企業が中心。経営理念・事業戦略から逆算した人事制度構築を得意とする。
人事制度の不満はなぜ生まれる？
社員からの不満は、経営者にとって最も耳の痛いフィードバックです。
しかし、その不満の裏側には、多くの経営者が陥る、人事評価制度における根本的な「罠」が隠されています。
公平性という罠
社員からの不満の多くは「評価が不公平だ」という訴えに集約されます。
経営者や人事は、この訴えに対し、評価基準を細かくしたり、多面評価を導入したりして、「公平性」を高めようと努力します。
しかし、これが実は最大の「罠」なのです。
なぜなら、人間が行う評価において、完全な公平などというものは存在しないからです。
その存在しない幻想を追い求めれば、制度は複雑化し、評価者は疲弊し、結果として形式的で冷たい評価が生まれるだけです。
人は、その「冷たさ」にこそ、不満を抱くのです。
人が本当に求めているのはルールではない？
社員は本当に、ただ完璧な「ルール」だけを求めているのでしょうか。
いいえ、違います。
人が会社に求めるのは、冷たい機械的なルールではなく、自分という存在が、会社という共同体の中で「意味のある存在」として認められているかという「承認」です。
そして、その承認は、公正な点数よりも、血の通った「メッセージ」によって得られます。
「この会社は、私のこういう頑張りを、ちゃんと見てくれている」という信頼感こそが、不満を解消する最高の薬です。
人事制度の不満の真犯人は？
では、評価基準の曖昧さや、給与の低さといった表面的な理由の、さらに奥にある不満の「真犯人」とは、一体何でしょうか。
それは、制度そのものでも、給与でもありません。
私が確信を持って断言します。
真犯人は、制度を創ったはずの社長が、その制度に「理念」という魂を込めなかったことにあります。
社長の「想い」が不在のまま作られた制度は、社員から「社長が何を考えているのか分からない」という不信感を生み、この不信感こそが、全ての不満の根源なのです。
9割が陥る不満増幅の一般的な対処法
社員からの不満が出た際、多くの企業が取りがちな対処法があります。
しかし、これらの対処法は、残念ながら「真犯人」にたどり着いていないため、不満を根本から解消することはできません。
むしろ、制度を複雑化させ、不満を増幅させる結果となりがちです。
評価基準の明確化
不満が出ると、人事担当者は、まず評価基準を細かく見直します。
「何をすればA評価になるのか」を、可能な限り具体的に、詳細に言語化しようとします。
これは一見、公平性を高めるための正しい努力に見えますが、真の解決には繋がりません。
なぜなら、評価基準が細かくなればなるほど、社員は「評価の点数を稼ぐ」ための行動に走り、「顧客への価値提供」といった本質的な行動がおろそかになるからです。
それは、社員の「思考停止」を招く、ただの作業に他なりません。
頑張りが報われない給与の計算式
「給与への不満」が出た時、多くの企業が取り組むのが、等級制度や報酬テーブルの改定です。
「評価と給与の連動性を高めれば、不満は解消する」と考えます。
しかし、どんなに複雑な計算式を導入しても、給与への不満は、決してゼロにはなりません。
なぜなら、社員が不満なのは、計算式ではなく、「なぜ、あの人が、自分より多く報われているのか」という、評価の「意味」そのものだからです。
その「意味」が、社長の理念という形で明確になっていなければ、どんな計算式も、ただの不信感の種となるでしょう。
評価者研修は無意味？
「評価が不公平なのは、管理職の評価スキルが低いからだ」と結論づけ、評価者研修を実施するのも、よくある対処法です。
しかし、その研修の中身が、評価エラーの種類や、面談の進め方といった、テクニック論に終始しているとしたら、それは無意味です。
管理職が本当に求めているのは、テクニックではなく、「この制度で、どのような社員を、どのように評価すれば、社長の想いに応えられるのか」という、判断の「軸」です。
その軸、つまり理念が共有されない研修は、ただの「ルール暗記大会」でしかなく、社員の不満を解消する力は持ちません。
人事制度の不満の正体は理念なき公平性
人事制度の不満の「真犯人」は、評価が不公平であることではなく、その評価に「魂」が込められていない、理念なき公平性そのものにあると、私は確信しています。
愛あるえこひいきこそが納得感の本質
人が本当に納得するのは、機械的な公平さではありません。
それは、「納得感のある不公平」です。
「あの人が、自分より高い評価を受けているのは、悔しいけれど、納得できる。なぜなら、彼が、この会社が最も大切にする価値観を、誰よりも体現しているからだ」
社員がそう思える状態こそが、真の納得感です。
そして、その納得感を生むのは、社長が理念に基づき、「誰を愛し、誰を報いるか」という基準を明確にする、「愛あるえこひいき」です。
評価とは、この「愛あるえこひいき」の基準を、全社員に向けて表明する行為なのです。
理念なき公平性は社員の心を冷ます
社長の理念という「魂」が不在のまま、客観的な基準だけで評価される。
この「理念なき公平性」は、社員の心を冷ます、最大の原因です。
社員は、その評価に、人間的な温かみや、未来への期待を感じることができません。
ただの冷たい事務処理として、自分の貢献が数字に変換されていくだけだと感じます。
この冷たさが、社員の情熱を奪い、組織の活力を低下させ、不満となって噴出するのです。
社長の言葉の不在が不満を増幅させる
不満の根源は、突き詰めれば「社長の言葉の不在」です。
制度設計や運用を丸投げし、社長が自らの理念を語らなくなった瞬間、社員は「この制度は、社長の本心ではない」と察知します。
社長の言葉が失われると、制度は「魂」を失い、管理職は「軸」を失い、社員は「目標」を見失います。
この、全方位的な信頼の喪失こそが、全ての不満を増幅させる、最悪のトリガーなのです。
愛あるえこひいきを制度に実装する
では、この「愛あるえこひいき」という理念を、どのようにして人事制度に実装し、不満をゼロにする組織を創れば良いのでしょうか。
そのための、具体的な3つのステップをご紹介します。
STEP1 社長が「誰を愛し誰を報いるか」を言語化
まず、社長であるあなた自身が、「最高の社員とは誰か」「この会社が最も賞賛すべき行動は何か」という、あなたの「本音」を、明確に言語化することです。
これは、あなたが、誰を「えこひいき」したいのか、という基準の言語化です。
「失敗を恐れず、常に挑戦し続ける人」 「自分の利益より、チームの成功を優先する人」 「お客様に、心から喜んでもらうために、ひと手間を惜しまない人」
この、あなたの「愛の基準」こそが、新しい人事制度の設計図となります。
STEP2 理念を等級評価報酬のDNAに組み込む
次に、その言語化された理念を、等級制度、評価制度、報酬制度という、人事制度の「DNA」の隅々にまで、組み込んでいきます。
例えば、「チームの成功を優先する人」を愛するならば。
評価項目では、個人の成果よりも「チームへの貢献度」のウェイトを高くします。
報酬制度では、チーム全体の目標達成を、個人のボーナスに、色濃く反映させます。
理念が、制度のあらゆる側面に、一貫して反映されるように、設計するのです。
STEP3 社長自らが愛を体現し語り続ける
そして、最も重要なのが、社長自らが、その「愛ある法律」を体現し、語り続けることです。
理念を体現した社員には、誰よりも早く、そして熱く、感謝と賞賛の言葉をかけ、報酬で報いる。
逆に、理念に反する行動を取った社員には、心を鬼にして、その行動が「会社の法律に反している」ことを明確に伝えます。
社長のその一貫した姿勢が、制度を「生きた法律」に変え、「社長は本気だ」という信頼感を、組織全体に浸透させていくのです。
まとめ 人事制度の不満をゼロにする社長の覚悟
人事制度の不満をゼロにする。
それは、小手先のテクニックや、複雑な計算式で達成できる目標ではありません。
それは、社長であるあなた自身が、自らの「理念」と、どれだけ真剣に向き合い、それを「愛ある法律」として制度に実装し、全社員に向けて「覚悟」を持って宣言できるか、にかかっています。
あなたの会社には愛ある法律がありますか
最後に、社長であるあなたに、改めて、問いかけます。
あなたの会社の評価制度には、社員が「この制度は、私たちを愛し、私たちを成長させてくれる」と、心の底から感じられる、「愛ある法律」が、ありますか。
もし、その答えが「YES」でないのならば。
不満は、これからも、あなたの会社を蝕み続けるかもしれません。
不満を本質解決するための個別相談
もし、あなたが、この不満のループを断ち切り、「愛あるえこひいき」という本質的な解決策を、あなたの会社に実装したいと願うならば、ぜひ私にご相談ください。
私は、あなたの会社の「愛」を言語化し、それを社員の心を動かす制度へと昇華させる、そのプロセスを、ゼロから、共に行います。
あなたの会社から不満を消し去り、理想の人事制度を構築することを楽しみにしています。
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