新規事業立ち上げ前の既存事業の「余白作り」

大企業から中小企業・ベンチャーの新規事業開発を支援する村井庸介が、それぞれの企業で見てきた問題解決の視点について解説していきます。

この記事ではクラフトビール会社の新規事業で年商1億円を達成してから1.5倍2倍へと成長させてきたその実践的なノウハウを紹介しています。

 

今回は新規事業を立ち上げるときの余白の作り方について紹介していきます。

 

目次

新規事業を立ち上げる前の既存事業の「余白」作り

【村井 庸介(むらい ようすけ)】大学卒業後は株式会社野村総合研究所に入社し、通信業・製造業の新規事業開発などの経営コンサルティングに携わる。その後、リクルート、グリー、日本アイ・ビー・エムなどで、法人営業・戦略計画・人事の仕事を歴任。2015年からはメガネスーパーでの事業開発・提携を通じて同社の黒字化・再生に貢献。独立後は、転職経験を活かし、自ら出資した企業複数社で取締役として経営、大手企業向け新規事業、中小企業の経営者向けコンサルタントの3本を主な活動の柱としている。出資したアウグスビールでは、新規事業子会社を立上げ、「クラフトビール工場(マイクロブルワリー)」の立上げから運用まで一気通貫で支援するサービスを提供開始した。広告予算を使わない広報による「ゼロ円集客」で1000万円商材の販売の仕組み化に成功している。

まずは新規事業を立ち上げるときに既存事業の「余白」の作り方について解説していきます。
まず新規事業を立ち上げると以下の様な問題が発生します。

・既存事業が忙しすぎて新規事業に集中できない

・既存事業から新規事業に人を移動させることによって既存事業の売り上げが前のようにうまくできない

 

このようなことが起こります。

それに対しての「余白作り」が必要になってきます。
そこで今から「余白作り」に必要な2つの方法を紹介していきます。

ABCの方法で余白を作る

これは大手の企業やコンサルティング会社で一般的に使われる方法です。
Activity Based Costing(アクティビティベースドコスティング)の略です。

活動にどれだけの時間・お金がかかっているかを見直すという意味です。
やり方としては、今行っている業務を全て一覧化します。

その一覧化した業務のそれぞれにどれくらいの時間とお金がかかっているのかを書き出し、見える化をしていきます。
そうすることで無駄をなくしたり、見直した方がいいような業務が明らかになります。

 

例えば

「この会議は毎週行っているけど、いいアイデアや結果が出ていないな」
「会議に出ているメンバーの時給は高いのにそれに見合った結論が出せるような内容ではないな」

ということが明らかになってきます。

 

まずはこのABCで見える化を行い次に紹介する方法で改善していきます。

ECRSの方法で余白を作る

ABCの方法で見直すポイントが分かったら次はECRSの考え方で改善を行っていきます。

 

・Eliminate:やめる
・Combine:同時並行、組み合わせる
・Rearrange:再配置
・Simplify:簡素化

 

Eはやめるという事です。先ほど例に挙げた無駄な会議やお客様からのお問い合わせに営業が出る事をやめてコールセンターに送るというようにします。

Cは業務を同時並行で行ったり組み合わせるという事です。
業務の待ち時間を利用して他の業務と組み合わせる事で無駄をなくすという事です。

最近だと、お客様からの連絡をチャットツールやラインなどそれぞれの画面で対応していると効率が悪いので、それらを統合的に利用できる統合管理ツールを用いる事でお問い合わせ業務を効率化した例があります。

Rは人や業務の再配置の事を言います。
例えば今まで経理がやっていた仕事を外部の税理士の先生に顧問費用ごと丸投げすつというような形で誰が何をするというのを見直すことです。

Sは業務の簡素化をするという事です。
例えば業務報告のテンプレートを作ってマニュアル化するという事です。

これによって人によってやり方が変わることや、いちいち考える手間が省けるので無駄な業務時間を取らないという事が出来ます。

これらの方法で業務を効率化していきます。
ECRSはEの順番から業務効率効果が高いです。

何かをやめる方が業務効率が体という訳です。

 

まとめ

ABCの方法で見えた業務の無駄をECRSのどれかにあてはめてみてください。
どれから改善していくかは各社の判断によりますが、E(やめる)ことから順番に業務効率化の効果は高いので思い切って無駄な業務をやめてみる事をオススメします。

 

ACBで出て来た業務を時給換算してみて特にやめるべき業務を見つけて改善していくとやりやすいと思います。

 

問い合わせ

新規事業、DX、人事制度などの経営課題に関するご相談は以下よりお受けしております。

仕事や取材に関するご相談