失敗しがちな「DX」3選

大企業から中小企業・ベンチャーの新規事業開発を支援する村井庸介が、それぞれの企業で見てきた問題解決の視点について解説していきます。

この記事ではクラフトビール会社の新規事業で年商1億円を達成してから1.5倍2倍へと成長させてきたその実践的なノウハウを紹介しています。
またコンサルティング会社として新規事業の立ち上げをサポートした、または大手の会社とのお仕事から培ってきた経験をお届けしています。

今回は失敗しがちな「DX3選」について解説していきます。

目次

失敗しがちな「DX」3選

【村井 庸介(むらい ようすけ)】大学卒業後は株式会社野村総合研究所に入社し、通信業・製造業の新規事業開発などの経営コンサルティングに携わる。その後、リクルート、グリー、日本アイ・ビー・エムなどで、法人営業・戦略計画・人事の仕事を歴任。2015年からはメガネスーパーでの事業開発・提携を通じて同社の黒字化・再生に貢献。独立後は、転職経験を活かし、自ら出資した企業複数社で取締役として経営、大手企業向け新規事業、中小企業の経営者向けコンサルタントの3本を主な活動の柱としている。出資したアウグスビールでは、新規事業子会社を立上げ、「クラフトビール工場(マイクロブルワリー)」の立上げから運用まで一気通貫で支援するサービスを提供開始した。広告予算を使わない広報による「ゼロ円集客」で1000万円商材の販売の仕組み化に成功している。

DXとはデジタルトランスフォーメーションの略です。

これはアナログからデジタルに切り替えるという事です。
今までアナログで行ってきた仕事をいきなりデジタルに変えるというのは非常に失敗が起こりやすいです。

そこで今回は「DX」デジタルトランスフォーメーションを行うときに失敗しない為の3つのチェックポイントについて解説します。

「DX」デジタルトランスフォーメーションとは

デジタルトランスフォーメーションとよく似た言葉でデジタライゼーションという言葉があります。
デジタライゼーションとは今まで紙でやってきたことを電子化してより短時間でより正確に今までと同じ成果を出そうというものです。

これは凄くいいことですがデジタルトランスフォーメーションとは全く別物です。

デジタルトランスフォーメーションとはトランスという言葉が付くように「変革・変形」するという事です。
この変革というのは「顧客体験」の事を言います。

ビフォーアフターで今までよりも「より快適・便利・パーソナル」な提案が出来るようになるという事です。

例えば、スマホであらかじめ注文しておくと店舗で並ばずに買えるというものがあります。
お客様からすると今までは並ばなくてはいけなかったものがアプリを活用することでより便利になります。

企業からすると「この人はオプションを毎回つけるな」というような事が分かり10回に1回無料クーポンを付けるなどすればお客様のリピート化につながるわけです。
こういったことは今までなかなかできませんでしたし、本当に気の利く一部の社員しか出来ていませんでした。

それをデジタルを活用することで会社全体としてできるようになります。
そして「お客様の体験自体が変わっていく」ということがDXの非常に重要な事になります。

話題・流行に乗ると失敗する

DXを進めてい上で最初の失敗しがちなポイントは話題・流行にすぐに乗ってしまうという事です。
他者が導入したDXが非常に評判が良かったとしても自分の会社に合うかどうかは分かりません。

業種や企業によって向き不向きというものがあります。
DX化にはそれなりの費用が掛かります。

費用を掛けてせっかく導入しても全く使わないという事になっては非常にもったいないです。
こういった流行に乗らないために「会社の現状を理解」するという事が大切です。

顧客体験をよりよくしていく事を考えましょう。
顧客体験というのは成功がありません。

だから「顧客体験」=「会社としてありたい姿」で考えてみましょう。
これをしっかりと定めていないとツールばかりに目が行ってしまい、ツールに振り回されてしまいます。

会社としてありたい姿に近づくにはどんなデジタル化を導入すればいいのかという軸をしっかりと持っておくことが大切です。

ヒトを考えないと失敗する

DX化をしても完全に機械化するわけではなく、その先にはお客様であり社員の方がいます。
例えば以前、居酒屋さんでメニューのデジタル化でiPhoneで注文をとっているところがありました。

そのお店では従業員の方に年配の方が多く、iPhoneでの注文を取るに非常に時間がかかっていました。
お客様からしたら注文したものが早く届いて欲しいのに、デジタル化をしたことで余計に遅くなるという事が起こっていたのです。

このように「使う人を見据えたうえでシステムを有効活用する必要がある」ので「向き不向き」というものがあります。
例えば例で紹介したお店であれば紙で書いた注文をスキャンしてバックデータとして活用するような裏側の部分だけデジタル化したほうが良かったと思います。

そうすればカスタマイズやメニューの刷新化が出来たのではないかなと思える例でした。

再配置の計画をしないと失敗する

海外の例では、銀行の手続きがスマホでできるようになることで、支店が要らなくなりリストラを行ったという事があります。
中小企業ではリストラを頻繁に行うという事は無いと思います。

しかし、デジタルに何かを変えていくという事はそこに今まで携わっていた人が必要なくなる可能性があるという事です。
つまり再配置の計画が必要になってきます。

例えば新規事業に人を回すというようなことです。
出ないと業務が効率化されたのに会社全体として効率化されていないという事が起こります。

既存の仕事を急に社員がだらだらするようになったという事が起こりかねないのです。
デジタル化投入時に再配置の計画を踏まえたうえで実行に移すという事をお勧めします。

せっかく投入したDX化が投資対効果が不十分なまま終わってしまわないように今回紹介した3つのチェック項目を検証してみてください。
会社の向き不向き、働く人、再配置の計画をそれぞれ踏まえてDX化を取り入れるようにしてください。

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